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災害時の口腔ケアは「命を守る」ことに直結します

大規模な地震や水害が起きると、避難所の生活を余儀なくされることがあります。避難所では水が確保できない場合も多く、歯磨きなどの口腔ケアは後回しにしがちです。ところが、お口の健康は全身の健康状態に影響を及ぼすため、口腔環境が悪くなったことで命を落としてしまうこともあるでしょう。そこで今回は、災害時における命を守るための口腔ケアについてお伝えします。

 

 

災害時は口の中の細菌が肺に入って起こる「誤嚥性肺炎」が増える

大規模な災害が発生すると、自宅が被災して避難所で生活しなくてはいけない人も出てきます。避難所では、多くの人と生活することになるので、ストレスから睡眠不足になったり、体調を崩す人が増えたりします。また、トイレの数が限られることや、水の確保が難しいことも多くなるため、水分を控える人もでてくるでしょう。その結果、体力や免疫力が落ちてしまいます。

そこへ、歯磨きなどの口腔ケアが満足にできない状況が加わると、口の中の細菌が唾液や胃液と一緒に入り込んでしまい、「誤嚥性肺炎」を起こしやすくなるのです。実際に過去の大規模災害の被災地では、誤嚥性肺炎を発症する人が増えただけでなく、命を落とす人もいました。

 

支援物資のおやつしか食べられないことによる食生活の変化も危険

災害時に誤嚥性肺炎が多い背景は、歯磨きなどの口腔ケアの不足だけが原因ではありません。災害時には食糧が不足することが多く、被災地によっては支援物資のおやつしか食べられないといった状況になることがあります。また、食事が出るようになっても、歯が弱い高齢者や入れ歯を使用している人に合わせた食事が出ることは珍しく、「おやつ以外に食べられるものがない」ということもあるでしょう。

おやつばかりの食生活だと、栄養バランスが悪くなるばかりでなく、噛む回数が減って唾液の分泌量も減少することで、むし歯や歯周病になる可能性が高くなります。むし歯や歯周病の原因菌は、肺に入ると誤嚥性肺炎を引き起こします。つまり、災害時の食生活の変化が命を脅かす危険性もあるということです。

 

災害時の口腔ケアの方法

災害時に誤嚥性肺炎を引き起こさないためには、どのように口腔ケアを行えばよいのでしょうか。

最も大切なのは、普段から災害に備えて準備をしておくことです。防災グッズには口腔ケア用品も準備しましょう。歯ブラシだけでなく、デンタルフロスや歯間ブラシなども入れておくと、歯の清潔を保つことができます。

また、ぜひ入れておきたいのがデンタルリンスです。災害時には水を使えないことが多いため、しっかりとうがいを行えない可能性があります。また、たくさんの人が生活するので、歯磨きに時間をかけられないこともあるでしょう。デンタルリンスがあれば、歯磨きの時間を短縮できるだけでなく、水がなくても口腔内の清潔を保つことができます。

口腔ケア用品がない場合には、ウェットティッシュで口の中を拭くとよいでしょう。ただし、ウェットティッシュはノンアルコールのものを使うようにしてください。アルコールが含まれていると口の中が乾燥してしまうため、逆に細菌が繁殖し、口内炎などの原因になるので注意が必要です。

入れ歯を使っている人は、使わない時はケースに入れるようにしましょう。ケースに入れる際は水洗いして清潔にしておく必要があります。水が使えない場合には、ウェットティッシュで拭いておけば、細菌の繁殖を抑えることができます。

口腔ケアは、災害時には後回しになりがちなケアの1つです。しかし、災害時だからこそ口腔ケアをしっかり行うことで、誤嚥性肺炎などの病気を予防し、健康を保つことができます。実際に、熊本地震に見舞われた南阿蘇村では、さまざまな職種が連携して口腔ケアにも力を入れたことで、誤嚥性肺炎の発症率を抑えることができました。「災害時こそ口腔ケア」ということを頭の片隅に入れておくだけでも、いざという時に役立つでしょう。